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オムニチャネルとは?メリットやデメリット、戦略実行のポイントを解説!

スマートフォンやSNSの普及に伴い、商品購入に至るまでのユーザーの行動パターンが多様化しています。今回は、近年注目を浴びている「オムニチャネル」について、O2OやOMOとの違い、メリット、デメリット、EC事業を活用したオムニチャネル戦略でおさえるべきポイントなど、わかりやすくご紹介します。

この記事を書いた人

藤井 玲

2002年に楽天市場へ出店したことをきっかけに、EC支援サービスの提供をスタート。
累計18年、150社以上のサイト制作、運営経験を持つ。
一部上場企業のECサイトを10年間運営した経験から、運営全般、フルフィルメントの知見が豊富。
現在は、Shopify Expert Partnerとして、ECサイトの新規出店支援はもちろん、
売上改善や業務改善などのコンサルティングを手掛けている。

オムニチャネルとは

オムニチャネルとは、販売戦略の一つで、企業がもつユーザーとのタッチポイントや販売経路をすべて統合させることで、ユーザーにアプローチする施策を意味します。2011年にアメリカで、NRF(全米小売業協会)によって言及され、その後大手百貨店などが導入したことをきっかけに、現在までに世界中で普及しました。
オムニチャネルがここまでの注目を浴びるようになった背景として、「スマートフォン、SNSの普及」が大きく起因しているとされています。スマートフォンの急速な普及に伴い、多くの人々にとって、インターネットがより身近な存在になりました。
さらに、FacebookやInstagram、Twitter、LINEなどをはじめとしたSNSの発達、普及により、インターネット上での情報収集や情報交換がこれまで以上に活発に行われるようになりました。その結果、とくに小売業界では、販売チャネルを従来の主力であった、実店舗だけにとどめず、インターネットを駆使することで、リアルとネットの垣根を越えて、ユーザーとの接点をもつようになりました。
情報提供の場や、ユーザーとのタッチポイントとしてだけでなく、大手ECモール等に出品または出店、もしくは自社独自のECサイトを運営することで、インターネット上で商品を販売するEC事業に着手するなど、オンライン上のプラットフォームの活用方法は多岐にわたります。最近では、SNSアカウントにカート機能を追加することで、SNSをショップとしても活用できるようになり、企業のオムニチャネル化に拍車がかかっています。
オムニチャネルの最大の目的として、異なる複数のチャネルやタッチポイントをシームレスに連携させることで、ユーザーが「いつでも・どこでも商品を購入できる」状態を作り出し、顧客満足度を向上させることであるといえるでしょう。他にも、あらゆるチャネルを統合することで、販売機会の損失を防いだり、リピート層の獲得を図ったりなど、様々な効果が期待されます。

オムニチャネルとO2Oの違い

近年着目されているワードで、オムニチャネルと類似した意味をもつものとして「O2O」が挙げられます。
“Online to Offline”の略称であるO2Oは、オンライン(ECサイトやSNSなど)とオフライン(実店舗など)を切り離して考え、オンラインからオフラインへとユーザーを誘導するという施策をさします。わかりやすくいえば、ECサイトやSNS上で、実店舗で利用できるクーポン等を配布することで、実店舗での売向上を図る、などが挙げられます。
O2Oとオムニチャネルとの違いとして、「オンラインの活用方法」が挙げられます。前者は、オンラインをオフラインの販売経路での売上向上を図るためのマーケティング施策の一つとして活用しているのに対し、後者では、オンラインとオフラインの両者を含めた、すべてのチャネルを統合することで、売上向上を図ります。
そのため、オムニチャネルにおいては、ECサイトやSNSなどのオンラインチャネルも、実店舗と同様、商品を販売する、または顧客との接点をもつ場として考慮されます。

オムニチャネルとOMOの違い

O2Oに加え、オムニチャネルと混同されやすいワードとして「OMO」が挙げられます。
“Online Merges with Offline”の略であるOMOは、オンラインとオフラインを分けずに、両者を連携させることで、顧客体験(UX)を最重要視するマーケティング施策をさします。2017年に、モバイルペイの発展が著しい中国ではじめに提唱された施策です。
わかりやすくいえば、実店舗にて、商品のタグ等に記載されたQRコードを読み取ることで、インターネット上で商品の詳細情報を閲覧できるなど、オンラインとオフラインの両者を駆使し、消費者により良い購買体験を提供することができます。商品情報だけでなく、購入履歴や閲覧履歴などといった顧客情報を、ユーザーの個別IDによって、リアルとネットに関係なく一元管理することで、マーケティングに活用する事例などもみられます。
OMOとオムニチャネルとの違いとして、「オンラインとオフラインの捉え方」が挙げられます。前者は、オンラインとオフラインを分けて考えず、両者を融合し、さらにデータを活用することで、UXの向上を図ることを目的としています。一方で、後者では、オンラインとオフラインを切り離し、それぞれを個別のものとみなしたうえで、最終的にすべてのチャネルまたはタッチポイントを顧客に意識させずに、商品の購入を促すことを目的としています。
OMOでは、ユーザーによる商品購入に至るまでのプロセスにとどまらず、事業全体を通して、あらゆる場面でのUX向上を図るのに対し、オムニチャネルでは、購入に至るまでの過程に特化して施策を講じます。

オムニチャネルのメリット

つづいて、オムニチャネル化を図るメリットをご紹介します。

①顧客満足度の向上

冒頭でも述べましたが、オムニチャネル化を図る最大の目的は、ユーザーに対して「いつでも・どこでも購入できる状態」を提供し、顧客満足度を高めることです。とくに、実店舗を運営する小売業者では、「実店舗で、購入したい商品の在庫がなかったため、購入を諦めた」「SNSで見た商品を求めて実店舗へ足を運んだが、在庫切れだった」など、販売機会を逃してしまったり、ユーザーがオンラインとオフラインのチャネルを駆使できる仕組みをつくれていなかったりなど、よくみられる課題として挙げられます。
そこで、オムニチャネル化を図ることで、オンライン上でECサイトや実店舗での在庫の有無を確認したり、ネット上でより詳しい商品情報を提供することで、実店舗では購入に至らなかったユーザーへの再アプローチを図ったりなど、売上向上かつユーザーの満足度を高める施策を実施することが可能になります。近年では、商品の注文をネット上で行い、受け取りは指定した店舗で行うなど、一回の購買体験の中でも、オンラインとオフラインの両者を駆使するケースもみられます。
ユーザーに対して、オンラインとオフラインを意識させない仕組みを構築することで、より利便性の高いサービスを提供し、顧客のロイヤリティを高めたり、リピート層を獲得したりなど、顧客満足度の向上につなげることができます。

②購入に至るまでのデータ分析の精度向上

実店舗やECサイト、各SNSアカウントなど、企業がもつタッチポイントは増えつつあり、各媒体でのユーザー属性や行動パターンにはそれぞれの特性が生じます。上述の通り、オンラインとオフラインの両者を駆使して商品を購入するユーザーも多く、従来よりも購入までのプロセスが多様化しています。そのため、各媒体がもつ情報を個別で管理、分析していては、分析可能な顧客の行動パターンが限られてしまいます。
オムニチャネル化を図る際には、すべての販売チャネルそしてタッチポイントの情報も一元管理する必要があります。そのため、各チャネルでの商品の売れ行き、基本的な顧客情報や、ユーザーの行動パターンなどをまとめて管理することで、より精度の高い分析を行うことができるでしょう。

③コストや業務効率の改善

オムニチャネル化する、つまりすべての販売チャネルを統合することで、情報だけでなく、在庫や受注業務などのバックオフィス業務の一元管理も可能になります。
とりわけ、複数のECモールに出店していたり、SNSアカウントでの販売を行なっていたり、実店舗に加え、複数のオンラインショップを運営している場合、商品の在庫も一括で管理することで、販売機会の損失防止や、廃棄削減を実現し、結果としてコスト削減を図ることができます。
さらに、受注業務をはじめとした、ECサイトのバックオフィス業務も統合することで、リアルタイムで各チャネル、そして担当者を連携させ、作業工数を削減することにもつながります。その結果、業務効率を向上させ、商品配送までのリードタイムを短縮することで、顧客満足度を高めることにもつながるでしょう。

オムニチャネルのデメリット

商品購入に至るまでのUXの向上や、収集したデータの有効活用、コスト削減、業務効率の改善など、多くのメリットをもつオムニチャネルですが、注意すべき点や課題もあります。オムニチャネルが抱えるデメリットは以下の通りです。

①実店舗にとって、オンラインチャネルが競合化

オムニチャネル化を通して、ECサイトやSNSアカウントなど、オンラインチャネルと実店舗での相互送客を図ったことで、顧客満足度という点で効果はみられたものの、実店舗のユーザーがオンラインへと遷移し、結果として実店舗のショールーム化に至ってしまったという課題がしばしばみられます。
オムニチャネル化を図るうえで、オンライン上の複数チャネルのみに注力するのではなく、実店舗との連携、実店舗が果たすべき役割、各チャネルとユーザーの関係構築の方法などまで検討する必要があるでしょう。

②認知度向上におけるハードルの高さ

いざオムニチャネル化を図ろうと、SNSアカウントやアプリ、ECサイト等を立ち上げた際に、集客の難しさも懸念点として挙げられます。集客は、競合性の極めて高いEC市場では、大きな課題として知られています。
そのため、実店舗のユーザーに対して、オンラインチャネルを認知させるための施策を実施したり、オンライン上でも、集客を図るための広告出稿やSEO対策などを行う必要があるしょう。オムニチャネル化を目指すうえで、「オンライン・オフライン問わず複数のチャネルがあること」「購入には、複数のチャネルを利用できること」などをユーザーに認知そして活用してもらうことが前提となります。

EC事業を活用してオムニチャネル戦略を実行するには

ECサイトやSNSアカウントなど、EC事業を活用してオムニチャネル戦略を実施するために必要不可欠な3つのポイントをご紹介します。

①オムニチャネル化までの明確なストーリーをたてる

オムニチャネル化を図る際は、複数の販売チャネルやユーザーとのタッチポイントを有していることが前提となります。そのため、自社の現状によって、着手すべきポイントが大きく異なります。
したがって、「いつまでに・だれが・なにを・どのように取り組むのか」という戦略実行までのロードマップを明確にする必要があります。場合によっては、社内体制の変更などといった、大幅な調整を行う必要性が生じることもあるため、可能な限り、明確な根拠をもったストーリーを提示するようにしましょう。

②目指すべき顧客体験を明確にする

繰り返しになりますが、オムニチャネルの最大の目的は「顧客満足度の向上」です。販売チャネルや、タッチポイントにこだわらず、購入に至るまでに、ユーザーに対してどういった価値を提供するのかを検討することが求めれます。
スマートフォンやSNSのさらなる発達に伴い、ユーザーの行動プロセスはめまぐるしく変化しています。その中で、ユーザーに「選ばれる」店舗になるためには、商品やブランドに加えて、購買体験全体を通して提供できる価値を明確にし、追求していく必要があるでしょう。

③PDCAを随時回す

顧客満足度の向上を最大の目的とするオムニチャネル戦略を実施する際には、”Plan(計画) Do(実行) Check(検証) Action(改善)”の略であるPDCAを随時回すことが、成功における秘訣の1つになるでしょう。変化し続けるユーザーのニーズに合わせ、戦略の見直しを定期的に行うことが求められます。
複数チャネルそれぞれが有する情報を一元管理するオムニチャネルでは、各チャネルを個別に運営、管理していた従来の手法に比べ、より多くの情報を有効活用することが可能になります。そのため、ユーザーの声を多方面から収集することを意識し、随時PDCAサイクルを繰り返すことで、顧客満足度の改善を行いましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
スマートフォンやSNSの普及、そして感染症の拡大などにより近年、消費者の購買行動はめまぐるしく変化しています。商品そのものに加え、購買体験や、それらを通して得られる価値がより重視されるようになったことで、オムニチャネルやOMOなど、UX向上に関連するワードが注目を浴びています。自社の現状を整理し、これからの施策を今一度検討してみてはいかがでしょうか。
ぜひ参考にしてみてください!

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