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ライブコマースとは?始め方や成功のコツ、日本の成功事例、中国市場までご紹介!

EC市場の拡大に合わせて登場した、最新のECの形態である「ライブコマース」。現在、その流れは中国を中心に更に拡大しています。多くの企業がライブコマースによる新しい販路の拡大に前向きな姿勢を見せています。今回はライブコマースについてその意味とメリットデメリット、成功させるためのポイントを紹介していきます。

この記事を書いた人

藤井 玲

2002年に楽天市場へ出店したことをきっかけに、EC支援サービスの提供をスタート。
累計18年、150社以上のサイト制作、運営経験を持つ。
一部上場企業のECサイトを10年間運営した経験から、運営全般、フルフィルメントの知見が豊富。
現在は、Shopify Expert Partnerとして、ECサイトの新規出店支援はもちろん、
売上改善や業務改善などのコンサルティングを手掛けている。

ライブコマースとは?どんな仕組み?

ライブコマースとは、ライブ動画を配信し商品を紹介して購入してもらうという販売の形態です。視聴者は配信者に質問したり、配信画面から直接購入したりすることができます。
ライブコマースは動画配信専用のプラットフォームや自社ECサイト、SNSのアカウントを介して行われ、それを視聴しているユーザーは配信されたコンテンツ経由で簡単に商品やサービスの購入を行うことができるという仕組みのもとで成り立っています。
動画の配信について企業の社員が行うか、またはインフルエンサーにライブ配信の依頼をするという方法もあります。
このような仕組みで商品の販売を行うライブコマースの効果ですが、顧客とのコミュニケーションが活発化し、その分商品のより細やかなディテールを伝えることが可能になるため商品の購入率は通常のECに比べて高い傾向にあります。

ライブコマースが注目されている2つの理由

オンラインでの売り上げが重要になってきているから

2020年4月以降の新型コロナウイルスの影響でオンラインで買い物をする消費者が急増しました。これに伴い、オンラインでどれだけ売り上げを伸ばせるかが重要指標になってきました。そこで、オンラインで売り上げを伸ばすためにライブコマースが利用されるケースが増えています。

中国のライブコマース市場が拡大しているから

近年、日本でも注目されているライブコマース市場ですが、その潮流は世界各国でも見受けられます。特に中国では、ライブコマース市場は約44億ドルに昇り、大手ECモールを中心に取り入れられています。日本からも越境ECを行い参加する企業も珍しくありません。

急速に拡大するライブコマースの市場規模

中国のライブコマース市場規模

ライブコマースは中国から広がった考え方で、2019年の市場は4338億元(約6兆9408億円)にもなります。中国のインターネット利用人口(7.3億人)の半数以上がライブコマースを通した購買体験があると言われています。2時間で3億円以上を売り上げるようなトップインフルエンサーも登場しています。
中国では毎日4000人以上のライブコマース配信者が、15万時間以上のコンテンツを生み出しています。つい最近でも「独身の日」に行われるセールの様子は日本でも大きく取り上げられ、ライブコマースに関してもしきりに報道されていました。
中国でここまでライブコマースが浸透している背景として、商品への信頼性の低さがあります。文化的に偽物の流通が多く、消費者は品質の低い商品を買わないために様々な対策をとってきました。そこで、トップインフルエンサーの出番です。この配信者がおすすめしているならこの商品は信頼できるというように、配信者の信頼性=商品の信頼性となっているのです。

日本のライブコマース市場規模

ライブコマースは中国で始まったサービスです。そのため、中国では多くの販売量を誇ります。しかし、日本での普及率はそう高くありません。全国民を対象にした調査ではその認知度が高いもので約40%、低いのもで20%前後となっております。日本のライブコマース市場はまず、サービスを認知される必要があるでしょう。
また、中国は国土が広い点や偽物の商品が出回りやすいといった点により、ライブコマースが普及したと言われています。一方、日本は国土が狭く、偽物などが出回りにくいため、ライブコマースの需要は中国ほどはありません。しかし、2020年世界では新型コロナウィルスによる、パンデミックが引き起こされました。パンデミックにより、実店舗に足を運び商品を購入することは難しくなり、ウィズコロナ時代においてライブコマースが再注目をされています。

ライブコマースを利用する4つのメリット

ライブコマースの急激な拡大は以下のような理由があると考えられます。

臨場感のある購買体験が提供できる

従来のECはインターネット上にもう一つの店舗をおくというようなイメージであり、商品の選定から購入までを消費者が1人で行います。一方、ライブコマースでは配信者と視聴者がコミュニケーションをとりながら商品を購入します。実店舗での購入のような感覚とライブならではの臨場感のある購入体験を得ることができます。

新しい客層が獲得できる

ライブ配信を多くのファンやフォロワーを抱えるタレントやインフルエンサーに行ってもらうことで、通常では獲得できなかった購買層にアピールすることができます。また、会社や商品のイメージアップにつながることが多く、配信を行う配信者の選定は非常に大切です。

商品の情報を的確に伝えられる

従来のECサイトで商品を見ていても、使用方法や別角度の写真など気になったことをすぐに見ることはできません。しかしライブコマースなら、コメントで質問するとリアルタイムで配信者が答えてくれます。視聴者が商品の情報を的確に知ることで、購入につながりやすくなったり、購入後のミスマッチを減らすことができます。

顧客の声を商品企画に生かせる

ライブ放送で寄せられた視聴者のコメントはデータとして自動で残るため、顧客の声が残りやすいです。ECサイトで購入した商品に対してレビューを書くよりも、ライブコマースでコメントを残す方が気軽にできるため、たくさんのコメントをデータとして活用することができます。

ライブコマースを利用する2つのデメリット

日本では2017年ごろから始まり、様々な企業のサービスが開始したライブコマースですが、撤退する企業が相次いでいることも事実です。そこには以下のような理由が考えられます。

起用する配信者に売上が左右される

注目度や売上は起用する配信者によって左右されます。起用するタレントやインフルエンサーがどの層にファンを持つのかということも勘案しなければなりません。また、配信者には商品についての知識や熱量を持ってもらう必要があります。
ところが、現状日本でライブコマースで商品を売ることに慣れている配信者の数は少なく、商品の魅力を伝える力や視聴者を飽きさせないトークスキルを持った配信者はなかなか見つかりません。

短時間で人を集めなければならない

ライブコマースは短時間の配信中に人を集めなければなりません。そのため、事前の告知や宣伝に力を入れる必要があります。また、配信中に問題が起こった際は企業や商品のイメージダウンや炎上につながってしまいます。

ライブコマースを成功させるための4つのポイント

配信者の選定にこだわる

ライブコマースを成功させるために最も重要なのは配信者の選定です。ライブコマースの配信者の種類は大きく2つに分かれます。タレントやインフルエンサーの起用か、自社の社員を起用するかです。
タレントやインフルエンサーを起用する場合に気を付けるべきポイントは、彼らのファンが自社の商品の購買層に近いか、商品に対しての熱量・知識があるかを見ます。せっかく配信に人を集めても、商品の購入につながらなければ意味がありません。若い女性向けの商品であれば、若い女性を中心に人気のある配信者を起用しましょう。
また、配信の中で配信者が商品に興味がなかったり、良いモノだと感じていない時は、視聴者はそれを敏感に感じ取ります。起用する配信者に商品の魅力を事前に理解してもらうようにしましょう。
自社の社員が配信する場合は、商品についての理解があり、しゃべり慣れている人を担当にしましょう。継続して出演することでライブ配信のスキルを社員が身に着け、視聴者に社員のことを覚えてもらい、ファンを獲得します。企業のイメージに直接つながるため、慎重に選ぶ必要があります。

ライブコマースに向いている商品を使用する

ライブコマースには向いている商品と向かない商品があります。ライブコマースに向かない商品を選定してしまうと、どれだけその商品に強みがあってもその魅力は伝わりません。
ではどんな商品がライブコマースに向いているのでしょうか?次章で詳しく解説しています。

配信のクオリティと時間設定にこだわる

視聴者の多くは商品の購入のためではなく、配信自体を見るために配信を見に来ます。そこで、視聴者が楽しめるようなコンテンツを用意することが、リピーターの獲得につながる施策です。
そのため、配信の内容を完全に配信者に任せるのではなく、ある程度の台本を企業側が作ることも大切です。商品の宣伝だけでなく、エンタメ要素を取り入れた配信にします。例えば、複数の配信者同士のコラボや月1でのイベントの開催などです。
また、配信の間隔や時間も適切に設定する必要があります。月に1度では配信を楽しみにしている視聴者にとっては物足りないので、週に1度くらいの配信をしている企業が多いです。そして、配信の時間は1~3時間ほどがベストだと言われています。短すぎても、視聴者が十分に集まるまでに終わってしまい、長すぎても視聴者が飽きてしまいます。販売したい商品によっても適切な販売時間は変わるため、何度もやる中での調整が必要です。

データ分析を行う

ライブコマースでは視聴者が多くの疑問点や感想をコメントとして残してくれます。配信後はそれらのコメントや視聴者数や購入件数、買われた商品の傾向などのデータを分析します。それにより、ライブ配信の効果を測定することができ、商品の選定や開発に生かすことができます。

ライブコマースに向いている商品とは?

ライブコマースを行う上で商品の選定はとても重要です。需要がない商品を紹介したところで高い紹介能力がなければ、購買に繋がることは少ないでしょう。また、ライブコマースの特性をより活かせる商品の選定も必要になります。「グルメ」「衣料品」「化粧品・香水」「日用品」などは動画配信でも映えやすく、ライブコマースにおいて定番の商品になります。
一方、ライブコマースに向かない商品も存在します。年齢層の高い商品がその代表例です。ライブコマース市場を利用している多くは若年層です。そのため、「健康サプリ」や「健康グッズ」などの年齢層の高い商品はライブコマースには向きません。

ライブコマースの始め方

ライブコマースはSNSや専用のアプリを使用しれば、簡単に始めることができます。しかし、ただ商品を紹介するだけでは、ライブを見に来る人はもちろん、商品を購入してもらうこともで繋がることは難しいでしょう。ライブコマースを始めるにあたりまず、大切にしなければならないのはまずは集客です。
そのため、多くの場合はインフルエンサーなどの出演者を雇い行うことが多いでしょう。インフルエンサーや芸能人を使いライブコマースを行う場合、爆発的な拡散力や集客力が期待できますが、その反面、多額の出演料が掛かっていしまいます。自社などで長期的にライブコマースを取り入れていく場合は、自社内で出演者を用意することも必要でしょう。特に、コンテンツマーケティングを行いたい場合などはインフルエンサーや芸能人ではなく、自社で担当を設け、行う必要があるでしょう。

ライブコマースを行う際に役立つサービス・アプリ12選

「Firework」


Fireworkは、「Loop Now Technologies」が提供するウェブサイトに縦型ショート動画を搭載するマーケティングプラットフォームです。Fireworkを利用することで、ライブを配信したいと思った時にいつでも自社サイトでライブ配信を行うことができます。
SNS上でのライブコマースはある程度のフォロワーがいなければ実践しても効果を出すことは難しいです。しかし、Fireworkのライブ配信はサイト上で行うため、フォロワーが少なくても、サイトに集客すれば十分に効果を発揮することができます。

「YouTube」


言わずもがなYouTubeは世界最大の動画配信プラットフォームです。YouTubeでは2019年から動画の下に商品を直接表示できるような広告フォーマットを開始し、ライブコマースへの対応しています。しかし、YouTubeのライブ配信はチャンネルチャンネル登録者が1000人以上と決まっていおり、誰しもが行えるわけではございません。
また、ライブコマース視聴経験者413人を対象にした調査では、「ライブコマースを視聴し、商品を購入したことがある」と回答した者の25.7%はYouTubeのライブ配信から購入しています。そのため、YouTubeはライブコマース市場でも大きなシェアを誇っています。

 

「Instagram」


InstagramはYouTubeに継ぎ国内で普及しているライブコマースプラットフォームです。そもそもInstagramは他のSNSに比べても視聴コンテンツを主体しているため、FacebookやLINE LIVEなどのSNSライブコマースプラットフォーム中では最もライブコマース利用者が多くいます。また、Instagramはその利用しやすさを武器に、アパレルブランドを始め、インフルエンサーや企業も多くライブコマースを行ってます。

 

「LINE LIVE」


LINEは日本最大のSNSプラットフォームです。チャット型のSNSでありますので、Instagramには劣りますが、その利用者の多さから多くのライブコマースライバーが存在します。

「Facebook」


FacebookはInstagram同様ライブコマースを行うことができるSNSライブコマースプラットフォームです。また、FacebookとInstagramを連携しているため、Instagramと併用するという使い方もできます。また、Facebookショップを使用することもできることに加えい、ユーザーの詳細を把握することもできるので、小さな販売店を中心おすすめのサービスとなります。

 

「LIVE torutte」


LIVE torutteはライブコマースに特化した動画配信アプリです。LIVE torutteでは、ライブ動画配信でリアルタイムでネットショップ販売が可能で、従来の一方的なライブ配信ではなく、視聴者参加型のライブコマースを展開することができます。

「SHOPROOM」


SHOPROOMは動画ストリーミングサービスのSHOWROOMが提供しているライブコマースプラットフォームです。アーティストを始め、モデルやタレントによる配信が行われており、特に若年層を中心に利用されています。

アパレルに特化したライブコマース「HansUP by 17LIVE」


HansUPはアパレルに特化したライブコマースプラットフォームの1つです。WEGOやEGOISTでも導入実績があり、複数のSNSとの同時生配信することができます。また、 UPは17LIVEが運営を行っているため、若年層をターゲットとする事業者には特におすすめです。

「TAGsAPI」


TAGsAPIはビックカメラや伊勢丹などの大手小売販売店も参加するライブコマースフラットフォームです。運営会社であるMOFFLYによる徹底したサポートを受けることができるため、安心してライブコマースを行うことができます。

「LIVEkit」


LIVEkitは最も簡単にライブコマースを行うことができるサービスの1つです。撮影から配信までをワンストップで行うことが可能で、手厚いサポートを特徴の1つです。導入から最短1日でライブコマースを行うことができるなど、その手軽さが大きな特徴です。

「ABEMA Shopping」


株式会社サイバーエージェントが運営する「ABEMA」も「変えるバトルクラブ」という番組内でライブコマースを展開しています。出演者同士が紹介したい商品を紹介しあい、販売量を競います。

「au Wowma!ライブTV」


au Wowma!ライブTVはKDDIは系列のECモール「au Wowma!」が提供するライブコマースプラットフォームです。アプリをダウンロードするだけで簡単に視聴ができます。

ライブコマースを導入した日本企業の成功事例4選

ここでは国内の企業のライブコマース成功事例を紹介します。

【食品事例】三越伊勢丹


三越伊勢丹は国内企業の中でも、早期にライブコマースを開始し、結果を出した企業です。お歳暮やお中元の商品を紹介し、パッケージの華やかさや、商品へのこだわりをリアルタイムで伝えました。消費者は店舗に行かなくても、商品の詳細を知ることができ、販売員の人員削減にもつながったそうです。その結果、ECサイトの売り上げを過去最高に伸ばすことを達成しました。

【食品事例】ミツカン


調味料メーカーとして国内で有名なミツカンは、中国進出の際にライブコマースを導入し成果を挙げている企業です。
ミツカンは、「淘宝ライブコマース」という中国のアリババグループが運営する「淘宝(タオバオ)」で利用できるライブコマースプラットフォームを利用しました。
中国市場での集客に苦戦していたミツカンですが、淘宝ライブコマースを利用して1時間のライブコマース配信で2500個の製品を売ることに成功しました。

【コスメ事例】資生堂


資生堂は初めに中国向けにライブコマースを展開していましたが、2020年7月より国内向けのサービスの展開を始めました。化粧品やコスメの販売を中心に行っており、視聴者とのコミュニケーションを多くとる双方向の配信を意識しているそうです。
ビューティーコンサルタントと呼ばれる配信者が商品の特徴や使い方を説明します。合わせてオンラインでのカウンセリングなども行っており、視聴者とのつながりを重視していることが分かります。

【アパレル事例】ユニクロ


ファストファッション大手のファーストリテイリングが運営するユニクロもライブコマースの活用によって更なる人気を集めています。
ユニクロのライブコマースは「UNIQLO LIVE STATION」という専用のプラットフォームから配信されており、ファッションに精通したスタイリストやモデルのライブ配信を見ながら商品の購入が行えるようになっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はライブコマースに関して、その意味とメリット・注意点、成功するためのポイントを解説しました。ライブコマース市場は今後ますます伸長していくでしょう。EC分野での売上を伸ばしたい企業様はこの機会にライブコマースという販売形態の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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