職域販売とは?企業事例やECサイト構築のメリットと注意点もご紹介します。
現在注目されているBtoEビジネスから、職域販売についてご紹介します。「社内販売」は知っているけど「職域販売」はあまり聞きなれないという方も多いと思います。職域販売の意味と社内販売との違い、メリットや企業事例についてご説明したいと思います。実はメリットが多く、EC化にも適している領域なので、検討のご参考になれば幸いです。
職域販売って何?BtoEビジネスの内訳から詳しく!
BtoEビジネスの販売形態2パターン
BtoE(Business to Employee)とは、企業と従業員の間の取引のことです。従業員との取引といっても販売形態がいくつか存在します。
まず①社内販売です。それから②職域販売です。社内販売は皆さん聞いたことがあると思いますが、職域販売はあまり聞きなれないかと思います。社内販売とは、自社の社員への販売のことで、諸経費を圧縮できる分、一般流通価格よりも安く販売されることが多いです。福利厚生の一環としても扱われます。では、社内販売と職域販売とはどう違うでしょうか。
職域販売とは?社内販売との違い
職域販売とは、取引先など他の会社の従業員に対して商品を販売することをいいます。 職域販売でも、一般の価格より安く提供されているところは社内販売と共通ですが、取引先の従業員までターゲットを広げているというところが社内販売との違いです。
職域販売のメリット
企業が職域販売を行うメリットは、ブランド価値を下げずにデッドストックを処分できるところにあります。売れ残り在庫が市場に残ってしまうのを防ぐために価格を下げてしまうと、新商品購入の妨げや値崩れに繋がってしまいます。そこで、売れ残った商品はクローズドマーケットを行うことで、市場に出さずに売り上げに変換することができます。
職域販売であれば、社内販売よりもターゲットが広いので、特にデッドストックがつきものなモデルチェンジの多い商材を取り扱う場合によく用いられます。
また、取引先で働く従業員をターゲットにすることで、顔なじみにもなりお得意様になってもらえる可能性があります。デッドストックもさばけて取引先とも関係が築けるという点でとても効率のいい販売手法です。
職域販売の企業事例
ヤクルト
ヤクルトは、ヤクルトレディがオフィスで乳酸飲料を出張販売するなどの職域販売を行っていました。現在は「オフィスでヤクルト」としてヒアリングから企業全体の健康生活のサポートをパッケージとして商品化しています。ヤクルトレディが販売に来てくれるプランや、企業が一括購入し社員に無料で配るプラン、自動販売機プランなどが用意されています。
参照:「オフィスでヤクルト」
江崎グリコ
設置無料の置き菓子ボックスを配置し、食べた分だけの支払いをするという職域販売です。定期的にスタッフが補充・管理をしてくれます。小休憩の充実や小腹を満たすことで生産性アップに繋がります。アイスやドリンクも設置可能で、お菓子ボックスのサイズもオフィスにあわせて設定できます。
参照:「オフィスグリコ」
職域販売はECサイト向き!
社内販売や職域販売では、通常各事業所や営業担当が注文を受け付けたものを、後で本部で取りまとめて発注します。また、取引先企業のビル内での展示なども行います。しかし、これらの取引はEC化が可能です。EC化が出来れば、展示や注文を受けるために取引先企業に赴く必要がなくなり、会議室を借りる手間やコストもかからなくなります。
また、注文が段階ごとに滞らずに直接サイトから注文がおこなえます。BtoEは、一般的に購買率が高くいので、ECサイトで注文が簡単で手軽になればさらに利用数を伸ばせるでしょう。
また、誰でも買えるサイトではないので検索上位にある必要もなく、SEO対策やリスティング広告なども不要で手間やコストもかかりません。むしろ、企業側は一般消費者に自社の商品を従業員に高い割引率で売っていることを知られないほうが良いはずです。なので、もし対象者以外がサイトを見つけたとしても、ログインしないと閲覧すら不可能なクローズドなサイトの形式が多いです。クローズドサイトには、サイト閲覧にログインIDとパスワードが必要だったり、企業によっては自社内のネットワーク内でしか閲覧できない仕様だったりがあります。
職域販売ECサイトのメリット
メリット①手間やコストが減る
通常のECサイトのように、買い手側ははいつでも注文ができるので、注文を受けに赴いたり取りまとめたりする必要はなくなります。また、配達先も自由に設定することができれば、会社側で各社員や取引先に配るなどの手間もかかりません。
メリット②制限や区別もシステム化できる
例えば、横流し防止のために「一人何点まで」や、「正社員は給料からの天引きが可能だが、パート・アルバイトは不可」などの制限もクローズドなサイトだからこそ行えます。また、自社社員と取引先社員とで割引率を変えたい、という場合にも対応できます。
職域販売ECサイトの注意点
注意点①取引先との交流が減少してしまう
減少するといっても、従来職域販売での受注とお届けの際に交流していた分が減るというだけで、企業間取引に必要不可欠な交流が減るわけではありません。
注意点②周知は必要
集客が必要ない反面、作っただけでは誰にも見つけてもらえません。逆に、購買率は高いので対象者への周知をしっかり行っておけば、サイトのオープン直後でもアクセス数の急増が見込めます。
注意点③30%より大きい割引は所得税の課税対象に
企業が「自社商品をその従業員等に値引販売する場合」には、いくつかの要件を全て満たす場合のみ値引きによる経済的利益について課税しなくてもいいことになっています。つまり、全ての要件を満たさない場合には、通常価額と値引価額との差額が、給与の現物支給として所得税の課税対象とみなされてしまいます。その要件の一つが、【通常他に販売する価額のおおむね70%未満でないこと】なのです。よって、割引は30%以内に納めなければならないところが要注意です。
参照:AZX総合会計事務所「【所得税】社内販売の取扱いについて」
職域販売ECサイトのこれから
職域販売は消費者の購買意欲が高く、ECサイトとしてターゲットも絞りやすいので、サイトのオープンから多数の注文があることが見込まれます。そのため出荷や配送などのバックヤードの効率化も必要になってきます。
また、クローズドな職域販売ECサイトのシステムを生かして、保育園・幼稚園から大学・専門学校など、教育機関の生徒や教員のみが使えるECサイトや、自治体内限定のECサイト、会員限定ECサイトなどにも応用が可能です。
まとめ
職域販売を含むBtoE市場は、どんどん注目されてきています。企業に生産性の改善が求められる中で、福利厚生が重要視されてきているからです。オフィスを快適にするために様々な職域販売事業が立ち上がっていますが、職域販売自体の利用を便利にするという点でも、職域販売サイトを構築する会社は増えています。また、このような特殊なECサイトのシステムは他サービスにも応用可能です。職域販売とECサイトはどちらも今後伸びるとされている領域ですので、職域販売ECサイトは今後大注目の分野であるといえるでしょう。
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