Last Updated on 9月 16, 2021 by ART TRADING
企業の成長において重要なのは、自社の課題や優れた点を見つけ、分析と改善を繰り返すことです。今回は、カスタマーサティスファクション(顧客満足度)に代わる、顧客のロイヤルティを測る方法「NPS」について計算方法から業界別のNPSランキングや成功事例まで紹介します。
Contents
NPS®とは
NPSとはNet Promoter Scoreの略であり、顧客ロイヤルティを数値化するものです。顧客が企業や商品にどのくらい愛着があるかを表すことができます。この指標は2003年にベイン・アンド・カンパニー社のフレドリック・F・ライクヘルド氏がハーバード・ビジネス・レビューで発表したことで急速に広がりました。アップル社やレゴなどの大企業がその有効性を示したことで、現在は欧米の上位500企業(フォーチュン500)の3分の1以上がNPSを採用しているそうです。
NPSは「あなたはこの企業(製品/サービス/ブランド)を友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」という質問を行い、その答えを基に計算し、数値を出します。回答者は0~10の11段階で評価をします。
ここで回答者は「批判者」と「中立者」と「推奨者」の3つのグループに分かれます。批判者は、アンケートに対し0~6の評価を付けたグループです。このグループは商品やサービスに対して悪い評価をし、否定的な口コミにより、新規の顧客の購買意欲を削ぐグループです。また、従業員の意欲を削ぐ可能性もあります。
中立者は、アンケートに対し7~8の評価を付けたグループです。このグループは中立的な立場を取っていて特に人に勧めることもしなければ、否定的な口コミをすることもありません。ただし、何かのきっかけにより推奨者になる可能性の高いグループでもあります。
推奨者はアンケートに対し9~10の評価を付けたグループです。このグループは会社の商品やサービスに対して良い評価を下し、いつも周りの人におすすめしてくれます。
NPSとカスタマーサティスファクションとの違い
カスタマーサティスファクションは顧客の満足度をはかるものであり、従来多くの企業に利用されてきました。ただし、顧客の満足度が高くても、リピート購入や新規購入の数が伸び悩み、業績向上につながらない場合もあります。実際に、離反客のうち80%が直前の顧客満足度調査で「満足している」と答えていたとする調査結果もあります。
そこで、業績向上のためにカスタマーサティスファクションに代わる新たな指標が求められた結果、採用された指標がNPSでした。NPSの結果と事業の成長率には高い相関関係があります。これは先行する様々な企業が証明してきました。これはカスタマーサティスファクションは顧客の満足度を聞いているのに対し、NPSは顧客がその商品を他人に勧めたいかどうかを質問するというところに差があります。顧客に次のアクションを取るかどうかを質問することによって、実際の業績の向上と連動する結果につながっています。
NPSの計算方法
NPS のスコアは「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた数値です。批判者の方が範囲が広いため、基本的にはスコアがマイナスになります。例を挙げると、100人にアンケートを取った結果、推奨者が30人、中立者が10人、批判者が60人となった場合は、
30-60=-30 となり、スコアは-30ポイントです。
このアンケートにはできるだけ多くのサンプルが必要になる。統計的には、400サンプル以上を確保するのが望ましく、誤差を±2%に抑えるためには2000以上が必要です。この計測を続けていくことでロイヤルティの高い顧客の創出と維持を目指すことができます。
業界別のNPSランキング
業界別にNPSの高い日本企業を紹介していきます。NTTコム オンラインが調査した、2019年の業界別NPSランキング一位と業界の平均NPSを紹介させていただきます。
銀行
「ソニー銀行」が-24.5ポイントで一位でした。業界平均は‐46.5ポイントです。手数料やセキュリティの信頼性という点で高い評価を得ていました。
アパレルECサイト
「ZOZOTOWN」が‐13.3ポイントで一位でした。業界平均は-21.7ポイントです。ウェブサイトの分かりやすさやアプリの使いやすさといった項目で高い評価を受けています。
クレジットカード
「楽天カード」が-17.0ポイントで一位でした。業界平均は-38.6ポイントです。ポイントのたまりやすさや手続きのしやすさという点で高い評価を受けています。
動画配信サービス
「Netflix」が-4.4ポイントで一位でした。業界平均は-24.6ポイントです。様々な項目で高い評価を受けており、コロナ禍による巣ごもり消費も追い風となっています。
セキュリティソフト
「ESET」が-10.2ポイントで一位でした。業界平均は-26.1ポイントです。インターネットの脅威や攻撃を知っているユーザーを中心に高い評価を受けています。
NPSを有効に活用する方法
NPSの最大の特徴は、結果と収益との連動性がカスタマーサティスファクションよりも高い点にあります。NPSが高いということは企業や商品に対しての信頼度や愛着度が高いという事を示します。ただし、NPSを実施するだけでは、業務が改善されるわけではありません。NPSを具体的な業績向上プランの作成に役立てる必要があります。
まず「推奨者」からどのような点が支持されているのかということを調査し、その点を強化していきます。それと同時に「批判者」からの否定的な意見を持たれている点の調査と分析を行い、改善を行います。このようなフローを繰り返し、企業を成長へと導いていくことがNPSの目的です。
NPSをとりいれた成功事例
クラブツーリズム
クラブツーリズムはリピート率の伸び悩みを課題として抱えていました。顧客満足度だけでははかりきれない部分で手をこまねいていた際に、再購買との関連性の高いNPSに目をつけました。
その結果ツアー中の「食事」という点に顧客満足度の結果との大きな乖離が見られたそうです。今まで課題だと思っていなかったところに課題が見つかり、業務改善の方針を形作ったそうです。
Symantec
Symantec(シマンテック)社はシリコンバレーに本社をおく、セキュリティソフトウェアのグローバル企業です。各部門ごとに異なる管理指標と独自目標があり、会社内での連携が上手くとれていませんでした。これらの課題を解決するためにNPSを導入しました。一つの指標を共通目標にした結果、従業員の考え方が変わり、部門間の連携が進んだそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は企業に対するロイヤルティを数値化するNPSについて紹介しました。計算方法は簡単ですが、継続しての調査や、課題分析と改善フローを繰り返さなければ、業績の向上にはつながりません。また、顧客の声に傾けることが多くなるため、従業員の目的意識をより高めることができるでしょう。本記事で紹介した内容を参考に、NPSを実施してみてはいかがでしょうか。
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