Last Updated on 9月 16, 2021 by ART TRADING
ECサイトやブログといったWebサイトを運営する上で、サイト訪問者のニーズを把握することは極めて重要です。現在では、インターネット技術の発展により、サイト運営者はサイト閲覧者がサイト内でどのような動きをしたのか、日ごろからどのようなWebサイトを利用しているのかを追跡することができます。この記事では、そうしたインターネット上の追跡を意味するトラッキングについてご紹介致します。
Contents
トラッキングとは?
トラッキングとは、特定のユーザーのサイト内、及びサイト外での動きを追跡し分析することを指すマーケティング用語です。一般的にはサイト内でトラッキングが行われ、どこの項目をどの程度の時間閲覧したか、また、どのページがコンパージョンに繋がりやすかったのかをデータ化し分析をします。
そのため、多くのサイト運営者はトラッキングから得られた情報からサイト内の問題点を見つけだし、改善することに役立てています。
また、「サードパーティCookie」など機能を利用すれば自分の運営しているサイト以外に、どのようなサイトを利用したのか分析することもできます。加えて、スマホアプリはトラッキングに利用されやすく電話帳や写真、GPSといった情報についてアクセス権限を付与した場合は情報が抜き取られトラッキングに利用されます。
トラッキングを使い追跡を行うメリットとは?
ECサイトなどのWebサイトを運営する際に、サイト閲覧者が多いのもかかわらずなかなかコンバーションに繋がらないというトラブルはよく生じます。
このようなケースを抱えている場合は、特にトラッキングを行ってみるといいでしょう。トラッキングを行うことによりサイト閲覧者の動きを把握できることから、コンバージョンレートを上げるための改善点を見つけることができます。
加えて、マーケティングオートメーション(MA)はトラッキングから得られる情報を活用し行われています。さらにコンバージョンレートを向上されたい方や作業コストを抑えたい方にはマーケティングオートメーションを利用することをおすすめします。
また、Web広告を利用している場合にもトラッキングは利用することができ、例えば「ワードα」と「ワードβ」の二つのWeb広告を出していたと仮定します。
この二つのワードの広告費などを含んだ総コスト、クリック数、コンバージョン数、コンバージョンレート(コンバージョン率)は以下の通りとします。
ワードα | ワードβ | |
総コスト(円) | 600,000 | 200,000 |
クリック数(回) | 3,000 | 5,400 |
コンバージョン数(回) | 120 | 90 |
コンバージョンレート(%) | 8 | 3.4 |
このデータから読み取れるは以下の通りです。
・クリック数は2,400回ほど「ワードβ」の方が多い
・コンバージョン数は30回ほど「ワードα」の方が多い
・コンバージョンレートは「ワードα」の方が4.6%高い
加えて、Webマーケティングでは広告の費用対効果を計算するために、このデータから1コンバージョンあたりに掛かったコストを表すCPA(Cost Per Action)を計算します。
そうすると「ワードα」のCPAは5,000円で、「ワードβ」のCPAは2,222円となり、「ワードβ」の方が1コストあたりに掛かるコストが低く費用対効果が高いことが分かります。
トラッキングのやり方
トラッキングを行うツールがさまざまあります。特に多く利用されるのが「Cookie」です。「Cookie」とは、WebサーバーからユーザーのWebブラウザに送られるユーザーデータを保存しておくためのファイルのことを指します。SNSやECサイトに一度ログイン情報を入力した場合、もう一度同じサイトを訪れた際に、同じ情報を入力せずにログインできた経験はありませんか?
それは、「Cookie」に訪問履歴が保存され、再度サイトに訪れた時に同じ人物だと認識されたためです。
この「Cookie」には2つ種類があり「ファーストパーティCookie」と「サードパーティCookie」に分かれています、それぞれトラッキングに利用されるツールです。
ファーストパーティCookie
「ファーストパーティCookie」とはユーザーがアクセスしているドメインが発行している「Cookie」のことを指します。例えば、ユーザーが洋服を購入するために、アパレル系のECサイトを利用していたとします。その際にECサイトではユーザーIDや購入情報を保存するために発行される「Cookie」が「ファーストパーティCookie」です。
また、「ファーストパーティCookie」はトラッキング拒否をされにくいため、トラッキングを行う際はよく使用されます。
サードパーティCookie
「サードパーティCookie」はユーザーが訪問しているサイトのドメイン以外から発行された「Cookie」のことを指します。「サードパーティCookie」を利用した場合、複数のドメインを共有することが可能で、複数サイトにまたがってユーザーの興味や行動を収集することができます。
そのため、「サードパーティCookie」は広告を作成するときに使用されることもあります。しかし、Googleは「サードパーティCookie」のサポートを2022年までに廃止することを発表しました。理由はプライバシー保護の観点から不適切と判断したためと言われています。
ブラウザフィンガープリント
「Cookie」以外にもトラッキングを行うことは可能であり、「ブラウザーフィンガープリント」などの技術が使用されます。「ブラウザーフィンガープリント」とは、ブラウザから取得した情報を組み合わせたデジタル上の指紋のことを指し、個々の利用者を特定するのに使われます。
「Cookie」よりはユーザーの識別精度は劣りますが、トラッキングを行う際にはよく使用される技術です。また、「Cookie」を使用せずにトラッキングを行う場合は他にもさまざま方法があり、「SensorID」という技術ではスマートフォンに備わっているジャイロセンサーや磁気センサー、加速度センサーといったデータを解析することで個人を識別します。そのため、異なるサイトやアプリでも行動を把握することができます。
スマホにおけるトラッキングとは?
トラッキングは、スマートフォン上のアプリやブラウザでも行われています。
スマートフォンでよく行われるトラッキングの仕組みには以下の2つがあります。
・広告識別子
・Sensor ID
広告識別子とは
広告識別子とは広告IDとも呼ばれ、広告配信のためにのみ使われるスマホ端末を認識するためのIDのことです。広告識別子にはiPhoneなどのiOS端末で使用される「IDFA」とAndroid端末で利用される「AAID」が存在します。
Cookieとの最大の違いは、トラッキングを行う単位にあります。Cookieはブラウザー単位でトラッキングを行いますが、広告識別子は端末単位で行います。
このことによって、Cookieで行うよりもより細かいセグメントでの広告分析が可能になります。
Sensor IDとは
Sensor IDとは、「加速度センサー」や「ジャイロセンサー」などのスマートフォンに搭載されているセンサーの仕組みを細かく分析することによって行うトラッキングのことです。
Sensor IDは数あるトラッキングの仕組みの中でも最新のもので、この技術の活用によってインターネットの利便性を上げるために消費者行動データのより高度な分析を可能にします。
トラッキングに対する近年の風潮とは?
トラッキングの発達によって生じるセキュリティリスクを危惧する声は、世界中で年々高まりを見せています。
2018年にはEUで一般データ保護規制が試行され、Cookieの取り扱いへの規制がより厳密なものになりました。日本でも2020年には個人情報保護法が改正され、Cookie 情報の取り扱いの見直しが進んでいます。
トラッキングを行うと危ないのか?
トラッキングはユーザーの行動を分析し、ユーザーによってより快適なインターネット体験を、企業にとってはより効果的なマーケティング施策を打ち出すためのデータを提供します。
一方で、トラッキングを行うことによって生じるリスクも存在します。その代表的なものが「セッションハイジャック」です。
以下では、セッションハイジャックについて詳しくご説明していきます。
セッションハイジャックとは?
まずITにおける「セッション」とは、Webサーバーとブラウザー間におけるアクセスの開始から終了までの一連の通信のことです。
「セッションハイジャック」とはこのセッションでやり取りされている情報を窃盗し、本人に成り代わって通信を行うというサイバー攻撃のことを指します。
セッションハイジャックは、セッションIDというWebサーバーがユーザーのセッションを認識するための識別子を窃盗することによって可能になります。
セッションIDの窃盗はCookieなどのトラッキングシステムに蓄積している情報を攻撃することで行われるので、トラッキングが行われている限りセッションハイジャックの被害にある危険性があります。
トラッキングの安全な利用には個人情報の管理能力が必要
近年ではスマートフォンやPC、利用しているデバイスに限らず簡単に様々なWebサイト、ECサイトを閲覧でき簡単な操作で上品を購入することができます。
しかしそのようなインターネット利用の中では、ユーザーの気づかないところで位置情報や、よく閲覧しているSNSの画像、広告識別子などが取得されデータとして送信されています。
利用中のアプリやWebサイトからのトラッキング許可の要求をむやみに受け入れるだけでなく、そのアプリやWebサイトに情報を開示することが本当に必要かどうかよく検討する必要があります。
このようにトラッキングには様々なリスクが生じますが仕組を理解して正しい利用すれば、インターネットの利便性を向上させ、自身のインターネット体験を改善してくれるシステムです。個人情報管理の面で一人一人に高い管理能力を持ってインターネットに接することが大切です。
トラッキングを許可すると?
アプリなどでトラッキングの許可をすると、以前閲覧したことのあるサイトやよく検索するキーワードに関する広告がアプリの使用中に出てくるようになります。
また位置情報なども検出し、その情報も加味した広告が表示されること多くあります。
トラッキング拒否をすると?
使用中のサイトやアプリで「トラッキングを拒否」の設定を行うと、過去のインターネットの利用履歴がサイトやアプリ側に渡らないようになります。
個人情報漏洩のリスクを低くすることができる一方で、そのサイトやアプリを使用しているときに全く興味の無い広告しか表示されなくなることがあります。
加えてパスワードやIDなどが必要な場合、本来であれば一度そのアプリやサイトを使用すればログイン情報としてIDやパスワードが記憶されます。
しかしトラッキングを拒否しているとログイン情報の記憶もされないときがあり、その場合はログイン時に毎回IDとパスワードを打たなければならないというひと手間が生じます。
トラッキングを拒否するには?
インターネット上の追跡を意味するトラッキングは設定を変更することで防ぐことができます。例えば、「Cookie」によるトラッキングを拒否したい場合は、「Safari」や「Google chrome」といった検索ツールの設定を操作すれば、簡単にトラッキングを拒否することができます。
トラッキング拒否をオンにすれば、トラッキングを拒否でき、反対にオフにすれば、トラッキングの対象となります。
トラッキングを拒否するにはオン・オフどっち?
iPhoneでトラッキングを拒否するにはどのような操作をすれば良いのでしょうか?結論、「Appからのトラッキング要求を許可」をオフにすればトラッキングを拒否することができます。
2.「トラッキング」を選択
3.「Appからのトラッキング要求を許可」をオフの状態にする
トラッキング拒否 [iPhone]
「iPhone」などのOSが搭載されている端末を利用している場合は、最新で強力なトラッキング防止機能を有しているのであまり心配する必要はないでしょう。そのため、アプリケーションを利用する際に、不用意に位置情報などの権限を付与しないことに注意する必要があります。
また、トラッキングやウィルス感染の観点から、常に最新のバージョンにアップデートするといいでしょう。端末の設定から与えている権限に関して確認、管理することできるので、ぜひ一度確認し、整理してみるといいかでしょう。
トラッキング拒否 [Android]
「Android」を使用している場合は、アプリケーションに許可する権限に関して細かく設定することができます。「iPhone」などと同様必要最低限の権限を付与するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事ではトラッキングについてご紹介致しました。
トラッキングとは特定のユーザーのサイト内、及びサイト外での動きを追跡し、分析することを指し、Webマーケティングをする際によく使われます。
サイト運営者はコンバージョンレートや広告の費用対効果を上げるために、トラッキングを利用することができます。
この記事がECサイト運営やトラッキングを知る上でお役に立てれば幸いです。
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