Last Updated on 9月 21, 2021 by ART TRADING
「電子商取引」を意味するelectronic commerceの略称であるECでは、インターネットを介して、モノやサービスの売買を行います。ECサイトとは、まさに、インターネット上で商品を販売するWebサイトを意味します。ECサイトでは、従来のマーケティング施策ではなく、ECに適したマーケティングを行う必要があります。
今回は、ECマーケティングについて、用語やツール、手法、課題、戦略などを踏まえてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください!
Contents
マーケティングとは?
公益社団法人 日本マーケティング協会は、マーケティングを「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」と定義しています。
言い換えれば、マーケティングとは、顧客やユーザーを理解し、彼らに選ばれ続けるためのあらゆる施策を策定、実行することで、自社そして市場を活性化させることを意味します。
マーケティング活動で発生する業務は多岐にわたり、代表的な業務は以下が挙げられます。
・ターゲット層の選定
・市場調査
・商品開発
・プロモーション、広告、宣伝活動
・販売チャネルの開拓
・その他施策の実行
・効果検証・分析
マーケティング活動を行う目的として、「商品・販売チャネル・価格・プロモーションを最適化することで、消費者に商品を購入してもらうこと」が挙げられるでしょう。
PEST分析やSWOT分析、バリューチェーン分析、3C分析、5フォース分析など、マーケティングを行う手法は多岐にわたります。また、国や地域、トレンドによって変化する点も、マーケティング活動の面白さであり、困難な点であるといえるでしょう。
ECマーケティングとは?
ECマーケティングとは、ECサイトの特徴を踏まえた、つまりECサイトに適したマーケティング施策を意味します。ECマーケティングを行う目的としては、一般的なマーケティング活動と同様、消費者に自社商品を購入してもらい、最終的に自社ECサイトの売上や利益を向上させることにあります。
従来のマーケティング活動では、ECサイトだけでなく、実店舗など販売チャネルは様々でした。しかし、ECマーケティングにおいては、非対面式の限定的な販売チャネルにおいて、継続して利益の創出を図らなければなりません。
従来のマーケティング活動に加えて、ECマーケティングの特徴は以下が挙げられます。
・集客の難易度が高い
・インターネットを用いることで商圏に制限がない
ECマーケティングで注力すべきフェーズとして「集客」「CVR向上」「リピート層獲得」の3つが挙げられるでしょう。数ある施策の中から、各フェーズに適したマーケティング活動を行う必要があります。
ECマーケティングで抑えておきたい用語やツールとは?
「集客」「CVR向上」「リピート層獲得」に分けて、それぞれ知っておくべき用語やツール、施策をご紹介します。
【集客】
ECサイトにおける特徴の1つに競合性の高さが挙げられます。自社独自で構築・運営するECサイトは、その他自社運営型の競合サイトに加え、大手ECモールも競合となります。
集客のための具体的な施策は以下の通りです。
①広告
集客の代表的な手法として、広告が挙げられます。ECサイトのプロモーションで用いられる代表的な広告4つについて、それぞれ説明していきます。
✔︎リスティング広告
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!といった検索エンジンの検索結果において、検索したキーワードに連動して上位表示させる、インターネット広告の一種です。「検索広告」「検索連動型広告」「PPC」などとも呼ばれます。
インターネット広告の中で、最も効果が出やすいというメリットがありますが、運用に際して専門的な知識が必要になる、運用コストがかかるなどの懸念点も挙げられます。
✔︎アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは「成果報酬型広告」で、ASP(仲介者)を介して、アフィリエイター(広告を掲載する人)がWebサイトでリンク付きの広告を貼る、インターネット広告の一種です。
クリック数や商品購入に至った件数などに基づく成果報酬型なので、リスティング広告よりも低コストで活用することができます。
✔︎ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、検索エンジンやWebサイト、ブログ記事などの広告枠に表示されるバナーを用いた、インターネット広告の一種です。バナーとは、リンク付きの画像を意味し、シンプルなものであれば、比較的容易に作成することができます。
ただし、リスティング広告と比較すると、その効果は出にくく、商品の認知度を高めたり、露出機会を増やしたりするための手段として運用されるケースがほとんどです。
✔︎SNS広告
SNSマーケティングとは、FacebookやTwitter、InstagramをはじめとしたSNSを活用した、インターネット広告の一種です。近年、若年層を中心に、検索エンジンではなく、SNSを用いて商品検索をする傾向にあることから、多くの企業がアカウントの開設、運用を行なっています。
ディスプレイ広告と同様、商品や自社のブランドの認知度を高める手段として有効で、魅力的なコンテンツを随時アップデートすることが求められます。さらに、該当ページのコメント欄や、ハッシュタグなど、ユーザーによる口コミによって、商品の認知度が高まるケースもあります。最近では、多くのフォロワー数をもつ、インフルエンサーに商品の宣伝を依頼する「インフルエンサーマーケティング」も流行しています。いずれにせよ、SNSアカウントを開設し、運用することは、集客における有効な手段であるといえるでしょう。
②コンテンツマーケティング
インターネット広告に加え、ECサイトでの有力な集客方法の一つに「コンテンツマーケティング」が挙げられます。既存または新しいWebサイトを設け、商品ページ以外のコンテンツを作成することで、商品や自社ブランドの認知度向上を図ります。発信すべきコンテンツの内容として、自社商品に関連するノウハウや最新情報が挙げられます。
コンテンツマーケティングを実施する際に、欠かせないのが「SEO」です。Googleの検索エンジンに適応させ、オーガニック検索時の検索結果にて、上位に表示させることを目的とします。実際に、ターゲットとなるキーワード(クエリ)を選定し、それに関連する内容を踏まえ、わかりやすく”ユーザーフレンドリー”なコンテンツの作成が求められます。
③アクセスデータ分析
ECマーケティングにおける特徴の一つに、膨大な量のデータの取り扱いが挙げられます。Google Analyticsは、ECサイト分析・解析の代表的なツールとして広く知られています。
Googleが提供するWeb解析ツールの一種であるGoogleアナリティクス(GA)では、webサイトの現状把握を通じて、課題の洗い出しや、改善に向けた施策立案を行うことが可能です。PV数(ページが閲覧された回数)や新規ユーザーによるアクセス数、ユーザーの平均滞在時間、直帰率や離脱率などの情報に加え、自社ページのユーザーの属性について、サイトへの流入経路、使用しているデバイス、性別や地域、頻繁に閲覧されるページなどの詳細情報を把握することができます。
とくに、PCとスマートフォンでは、同一のWebサイトであっても、画面上での実際の表示が異なります。そのため、スマートフォンからのユーザーが高い割合を占める場合は、PC対応に加え、スマートフォンにも対応させることで、ユーザビリティを向上させることができるでしょう。
またGAでは、自社で定義、設定したコンバージョン(CV)数についても分析することができ、CVに至らなかった要因についても検証することができます。様々な数値の可視化が可能なGAですが、使いこなすためには、専門的な知識や、分析する明確な対象や目的の定義が必要になります。
【CVR向上】
“conversion rate”の略であるCVRは、ECサイトをはじめとするWebサイトへのアクセス数のうち、商品購入など、自社の利益につながり得るなんらかの行動に至った割合のことです。CVR向上のために行うべき、ECマーケティング施策は以下の通りです。
①LPO
“landing page optimization”の略であるLPOは、「ランディングページ最適化」を意味します。ランディングページ(LP)とは、検索結果や広告などを経由し、ユーザーが最初にアクセスするページのことです。
LPは、サイトへ訪問したユーザーが最初に目にするページであり、ユーザーの意向に合えばCV獲得につながりますが、そうでない場合は直帰に至ってしまいます。そのため商品ページやコンテンツページなどと比較して、直帰率や離脱率が高いという特徴があります。そのため、ECマーケティングそしてCVR向上において、LPOは必須であるといえるでしょう。
LPOを行う際に意識すべき点は以下の通りです。
✔︎ユーザビリティが考慮されているか
✔︎商品ページへのリンクボタンや画像、テキストは適切に配置されているか
✔︎PCやスマートフォンそれぞれに対応しているか
②UIの見直し
“user interface”の略であるUI(ユーザーインターフェイス)は、「ユーザーと商品の接点」を意味します。ECサイトをはじめとするWebサイトにおいて、UIはサイトの使いやすさ・見た目を意味し、サイト内でユーザーが利用する機能、目にするものすべてのことを指します。具体的に、サイト全体のレイアウト、テキスト(フォント、サイズ、色、内容など)、画像、ボタン、操作のしやすさなどが挙げられます。
CVR向上に特化したUIの見直しを行う際の注意点は以下の通りです。
✔︎情報が明確に表示されているか
✔︎価格の表記はわかりやすいか、税込価格が表示されているか
✔︎スムーズ且つシンプルに入力できるか
✔︎ボタン(とくに注文確定や決済完了ボタン等)の位置はわかりやすいか
UIでは、デザインよりも利便性を追求することで、CV獲得につながる傾向にあります。例として、大手ECショッピングモール(Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピング)が挙げられます。これらのサイトは、サイト全体のユーザビリティを考慮していることから、商品情報の表記が明確であったり、注文確定ボタンが複数箇所に設定されていたり、過去に使用された個人情報をそのまま使用させることで、決済までの過程を短縮したりなどの施策が施されています。
③ECサイト内機能の充実
ECサイトにおけるCV獲得は、ほとんどの場合「商品の購入」です。競合の多いECサイトの中でも、自社のECサイトからの購入、さらにリピート率向上のためには、可能な限り、ECサイト内の機能を充実させることが必要となります。実際にツールを用いることで、導入できるものがほとんどです。
ECサイトにて、揃えておきたい機能は以下が挙げられます。
✔︎レコメンド機能
✔︎カゴ落ち対策機能
✔︎入力事項をシンプルにする機能
✔︎レビュー、口コミ(投稿・閲覧機能)
④リマーケティング広告
リマーケティングとは、過去に一回以上自社サイトに訪問したことのあるユーザーに対し、再度訪問してもらうための施策を行うことです。サイトへ訪問歴があるユーザーは、少なからず自社サイトや商品に興味を示しているケースが多く、比較的CV獲得にもつなげ易いといえるでしょう。
Google広告を用いてリマーケティングを行う際は「リマーケティング広告」、Yahoo!やFacebookなど、Google広告以外で行う場合は「リターゲティング広告」といいます。
リマーケティング広告を行う手法は複数あり、テキストやバナー、配信型広告、動画広告などが挙げられます。
CVR向上施策の実施において、高い集客力を誇る、大手ECショッピングモールを参考にすることも、一つの有効な手段です。自社ECサイトの現状や課題をGAなどのツールを用いて洗い出し、改善策を検討する際は、ぜひ参考にしてみましょう。
【リピート層獲得】
ECサイトでの売上利益を向上させるうえで、リピート層獲得を図るための施策も欠かせません。代表的な手法は以下が挙げられます。
①メルマガ
メールアドレスをはじめとした顧客情報を自由に管理できる、自社運営型ECサイトの強みを活かし、実際に、過去に商品を購入したことのあるユーザーに対し、メールマガジンを配信します。イベント開催の知らせや、関連商品の紹介など、CV獲得につなげるべく、開封率を高めるための工夫を凝らす必要があります。
②クーポン・会員ポイント
CVに至ったユーザー、すなわち商品購入に至ったユーザーに対し、決済完了時などに会員ポイントや割引クーポンを付与することも、リピート層獲得のための有効な手段となります。ポイントやクーポンに使用期限を設けることで、リピート購入に繋げ易くなるケースもみられます。
ECサイトマーケティングにおける課題とは?
①効果が出るまでに時間やコストがかかってしまう
以上からもわかるように、ECマーケティングと一言でいっても、施策は多岐にわたります。ターゲットや目的を明確に定める際にも、ツールを用いた現状把握、施策を実施する際にも、専門的なスキルやノウハウが必要になります。また、これらの施策が効果に直結するとは言い難く、コストや時間がかかり過ぎてしまうという懸念点が挙げられます。加えて、実施した施策に関する効果測定や、要因の特定なども容易ではありません。様々なツールを利用するためのコストや担当者などを確保する必要があります。
②顧客特定の難しさ
自社運営型のECサイトでは、顧客情報を自由に管理することができますが、ECショッピングモールへの出店・出品を行うケースであれば、取り扱える情報に限りがあります。さらに、実際に商品を購入するユーザーと決済を行うユーザーが異なるケースも多々あります。そのため、膨大かつ信憑性が不透明な情報を扱うECマーケティングでは、顧客やターゲット層を特定することさえも容易ではありません。情報を扱う際にも、収集したデータが信頼できるかという点にも注意する必要があるでしょう。
ECマーケティングにおける戦略の必要性
比較的難易度の高いECマーケティングにおいて、明確な戦略を設定することは、必要不可欠です。CV獲得を達成するためのシナリオをしっかりと描く必要があります。加えて、効果が出にくいことからも、「いつまでに(期限)どこまで(数値)の達成を目指すのか」といった、目標を掲げた戦略を設ける必要があるでしょう。
業務が多岐に渡ることからも、複数の担当者でECマーケティングを行うケースがほとんどです。そのため、目的や達成のための戦略を適宜共有することも欠かせません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、消費者行動にも変化がもたらされ、ECサイトに対する需要がより高まりつつあります。しかしながら、ECマーケティングは、実施すべき施策や必要なノウハウが多く、複雑であるといえるでしょう。
現状や課題を踏まえ、目的や戦略を明確に設定することで、ECサイトにて効果的なマーケティング戦略の実施を実現しましょう。ぜひ参考にしてみてください!
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